“疲れない”より”疲れづらい”身体に (2026/04/03)


「疲れない身体」は存在しない。
でも「疲れにくい身体」はつくれる。

疲労は身体が正常に機能しているサイン。完全になくすことはできません。問題は「疲れるかどうか」ではなく、「どう疲れるか」「どう回復するか」にあります。

「疲れない」を目指すと、逆効果?

鍛えれば鍛えるほど疲れにくくなる、と思われがちです。しかし以前の記事で触れた「痛みの慣れ」と同じように、疲労にも身体が「慣れていく」という現象があります。

疲れを感じにくくなっているのは、必ずしも身体が強くなったからではありません。疲労のシグナルに対する感度が下がっているだけの場合があります。この状態で動き続けると、蓄積した疲労に気づかないまま身体に負荷をかけ続けることになります。

PATTERN A

疲れを感じにくくなっている

閾値が上がり、疲労のシグナルが届きにくい状態。問題が蓄積していても気づかず、ある日突然パフォーマンスが落ちたり、怪我につながったりする。

PATTERN B

疲れを感じ、回復できる

身体のシグナルを適切に受け取り、休息・回復のサイクルが機能している状態。疲れはするが、翌日にはリセットされやすい。

疲労にも、閾値がある

「閾値(いきち)」とは、ある反応が起きるために必要な刺激の最小値のことです。痛みに閾値があるように、疲労にも「この量を超えたら感じる」という閾値が存在します。

この閾値は固定されたものではなく、身体の状態・睡眠・栄養・ストレスなどによって日々変動します。そしてトレーニングの積み重ねや、生活習慣の偏りによって、徐々にずれていくことがあります。

疲労の閾値——3つのパターン
閾値が
適切な状態
疲れを感じたら休む、回復したら動く——このサイクルが自然に機能している。身体のシグナルを信頼できる状態。
閾値が
高すぎる
疲れを感じにくく、オーバーワークになりやすい。蓄積疲労・慢性的な緊張・怪我のリスクが高まる。「疲れない身体」に見えて、実は危険な状態。
閾値が
低すぎる
少し動いただけで強い疲労を感じる。自律神経の乱れやストレス、慢性疲労が関係していることがある。身体の回復力自体が低下しているサイン。

興味深いのは、閾値が「高すぎる」状態と「低すぎる」状態はどちらも問題だということです。「疲れない」は必ずしも良い状態ではなく、「適切に疲れを感じ、回復できる」ことが本来の目標になります。

「疲れにくい」の正体は、回復力にある

では「疲れにくい身体」とは具体的にどういう状態でしょうか。それは疲れないのではなく、「疲れの質がよく、回復が早い」状態です。いくつかの条件が揃ったときに、この状態に近づきやすくなります。

01
使うべき筋肉が使われている

代償動作が少なく、力が効率よく伝わる身体は、余計なエネルギーを消耗しにくい。特定の部位だけに疲労が集中するのではなく、全身に分散される。

02
力を入れる・抜くの切り替えができる

常に力が入り続けている身体は、休んでいる間にも消耗が続く。必要なときに力を入れ、不要なときに抜ける——この切り替えが疲労の蓄積を左右する。

03
自律神経のバランスが整っている

交感神経優位の状態が続くと、身体は「休息モード」に入りにくくなる。深い呼吸や背骨の動きを通じて副交感神経が働きやすい状態をつくることが、回復の土台になる。

04
疲労のシグナルを受け取れる

身体の声を聞ける状態であること。閾値が適切に機能していれば、疲れたときに疲れを感じ、休むべきときに休める。これ自体が身体の健康のひとつの指標になる。

疲れを「なくす」のではなく、「扱える」身体をつくる

身体の使い方を整えることは、”疲れにくい身体”をつくることにつながっています。代償動作が減れば疲労は分散され、深い呼吸が戻れば自律神経のバランスが整い、脱力のクセがつけば回復のサイクルが機能しやすくなる——これらはすべて、身体の使い方を見直すことで起きる変化です。

RONDOのトレーニングでは、力みのクセに気づき、脱力の感覚を取り戻すこと、そして使うべき筋肉が使われる動きのパターンを積み重ねること目指します。身体のシグナルと対話できるようになることが、”疲れにくい身体”への入口だと考えています。